凛マガジン(成人式)

●令和4年の成人式

●地域性

●今年の特徴

●コロナの影響で

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●令和4年の成人式 年末ごろから、コロナの感染傾向に変化があり、どうなることかと思いましたが‥‥各地で成人式、お祝いの会が開催されました。ほぼ毎年、特に予定がなければ、成人式を見に行っています。式典に参加するわけではありませんが、地元の会場近くまで出かけて、成人の皆さんの装いをチェックします。 成人式は、一度に大勢の(しかも若い方の)和装を見られる絶好のチャンスです。毎回、良いフィールド・ワークになっています。 その年の特徴や変化などを観察してみるのですが‥‥洋服ほどハッキリした特徴でなくても、やはり流行があったり、世相の影響を感じたりします。

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●地域性

成人式の和装で面白いのは、同じ振袖でも地域で特徴が違うという点です。地元の会場で見かけた新成人さんと、テレビで報道される各地の様子を見ると、人気のありそうな絵柄が違っているのです。 ※ヤンチャ系の男性で、紋付袴ではなく、陣羽織を着てる人もテレビで見ましたが、あれは礼装というより、衣装みたいな感じで着ているのかなぁ~という印象ですね‥‥。 では‥‥今年、京都市内の成人式で見た和装について、お伝えします!

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●今年の特徴

今年、京都の成人式の振袖を見渡して、最初に感じたのが、「意外と古典柄が多い!!」でした。前述したように、人気の絵柄には地域性があるようです。成人式の日の夜、テレビを見ていたら(どこの地方かは見逃しましたが)、幾何学模様を着ている人が多い映像が流れていました。 大手のメーカーさんは、全国に同じ商品を流通させることができますが、たとえば地域の小売屋さんや、タウン誌などは、地域差に関係しているかもしれません。 地元のお店のマネキンが着ている振袖とか、「ホッ★ペッパー」のような地域編集のタウン誌を、参考にされる人があるのかもしれません。 あと、品物のグレードで言うなら‥‥いわゆる「エエもん」──高級品が多かったです。 もちろん、レンタルも一定数あるでしょう。しかし、それを見越しても、「これはレンタルではないな!」という、一目で誂え品とわかる品物が、今年は特に目についた気がします。 高級品が多かった点については(こちらも独断と偏見ですが)‥‥コロナ禍で、富裕層の旅行や、お金を使う機会が減っていることが関係しているかも?!と思っています。

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●コロナの影響で もうひとつ、コロナ禍で呉服業界が影響を受けたことがあります。それは、海外のロックダウンです。近年、ベトナムや中国など、海外での仕立てが多くなっています。海外で仕立てと聞くとイメージが良くないかもしれませんが‥‥ベトナムに関しては、納期に余裕があれば、利用してもまったく問題ないレベルです。仕上がりも丁寧ですし、国を上げて、縫製技術の向上や人材育成に力を入れているようです。 凛でも、コストを抑えたい&納期にも余裕がある、というお客さまには、ベトナム仕立てをご提案することがあります。 ところが昨年は、ベトナムでも産業が集中する大都市──ホーチミン、ハノイ、ダナンなどがロックダウンとなり、仕事も物流も停まってしまう事態となりました。 幸い凛の品物は影響を受けませんでしたが、ベトナムに発注している会社の方に聞くと、現地で生産中にロックダウンになり、納期に間に合わなくなった品物もあったそうです。 現地では、多くの工場が閉鎖によって作業ができなくなりました。しかし、ロックダウンで家に帰れなくなった一部の技術者が、工場に泊まり込んで生産する会社もあるなど、異常な状況だったそうです。 いくら納期に余裕があっても、今回のような事態は予測不能でした。しかも、海外の政府の判断で決まることなので、対策のしようがありません。 国内の縫製が海外産に押されている、と懸念する声もありますが、海外仕立てを気に入ってリピートしてくださるお客さまもいらっしゃいます。

2022年02月26日