生徒の窓 7/1

*お知らせ*

***授業状況***

✿✿教材 ……●夏帯2点

✿✿

 

●夏帯2点…左ー薄ブラウン麻色幾何学模様 右ー濃い紫ステンドグラス柄 

(透け感・張り感のある帯です。帯芯には夏用の芯を入れて涼しげにお召ください)

✿✿授業料の改正についてお知らせです。諸事情により授業料の改正をせざるを得なくなりました。詳しくは教室にて(2025年9月より)よろしくお願いします。

✿✿皆さん「凛通信」をお読みになっているでしょうか? 読み飛ばしてしまっている方もいるようですのでお知らせします。紺屋さんの裏話や染の技術などに対するつぶやきなどを知ることができます。私もこのマガジンで情報を知ったり、実際に反物を送ったりして相談に乗っていただいたこともあります。是非毎月読むようにしてみてください。

✿✿各々クラスでの出席回数をオーバーする場合は一日毎に所定の料金が必要となります。もう一日だけ、半日だけ授業に出られるのにという方には便利となります。

✿✿ 出席やキャンセルの連絡は下記針山アイコンよりお願いします。(教室の留守電可)

✿✿マスクについてお願い……コロナウィルスによる感染防御のマスク使用については、個人の自由に任せることになっています。当教室では顔を近づけての会話が多い為、いましばらくの間マスクの着用をお願いします。(授業中会話をしない状態ではマスクを外していただいてもよいです)講師は常時着用

✿✿ 窓開換気の為、気候に合わせて着るものの調節をお願いいたします。

✿✿ 交通状況や気象状態等で、教室がお休みになる場合が出てくることがあります。その際は当ホームページにてお知らせをいたします。不安の場合には当ページにて確認をお願いいたします。

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 凛通信


●紋の位置と意味
●秘密の「胸紋」

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梅雨の季節になりました。
梅雨の時期に増える呉服のトラブルは、なんといってもカビ!
カビは、梅雨の時期に見つかるのではなく、湿気の多い時期に着用したきものに、タンスで保管中に異変が起きていた‥‥ということも多いです。

雨の日の外出で、濡れなかったと思っていても、気づかないところが濡れていた、少しの雨粒が水ジミになり、そこからカビや変色に発展‥‥というケースもあります。

メルマガ本文は、「紋」についての解説が、まだ続いております‥‥
今回は、「紋に隠された秘密のメッセージ」についてお届けします。

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●紋の位置と意味

紋入りのきものには、一つ紋、三つ紋、五つ紋があり、数が増えるほど格が上がるとされています。

皆さんご存じかと思いますが‥‥

一つ紋:背中だけ。準礼装とされます。
 お茶会やお祝いの会合で着用されることが多いです。

三つ紋:背中と左右の袖で合計三ヶ所。
 色染袖や訪問着に見られます。一つ紋より、格は上がります。

五つ紋:背中・両袖・両胸の、合計五ヶ所。第一礼装とされます。

また、最近では知る人が少ないですが、紋の場所には意味があります。

背紋は、ご先祖様を表す
袖紋は、兄弟姉妹や親戚を表す
胸紋は、両親を表す

と言われています。
紋の入ったきものには、ご先祖様のご加護、血縁のつながり、両親からの愛など、お守りのような意味があるのでしょう。
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●秘密の「胸紋」

一般には知られてないですが、「胸紋」には、別バージョンがあります。
正確な由来を知りたくてネット検索しましたが、ぴったり合う解説が見つかりませんでした。
なので、定説ではなく、特定の地域や人々から支持されたものだとご理解ください。
別バージョンの胸紋について知ったのは、キセちゃんの父親が営む呉服店への注文がきっかけでした。

一人の女性から「きものに紋を入れて欲しい」というご依頼がありました。
品物には、入れる紋が手描きのイラストで添えられていました。
ところがこの紋、同じものを見たことがありません(似たものは知っていましたが)。
「紋帳」(家紋や刺繍の図案集として使われる、事典のようなもの)で調べても、同じものが見当たりませんでした。
困り果てて、紋屋さんに相談しました。
すると、「あ、これ、抱き紋になってるな」とひと言。

そして紋屋さんが、紋の意味も説明してくれました。
この品物の胸紋は、両親からの思いを受け取るものではなく、公表できない恋愛関係を表現したものだったのです。

通常、女ものの着物には女紋、男ものには男紋が入るのですが、この注文では、女紋の中に男紋を「忍ばせた」デザインになっていました。
それを紋屋さんは「抱き紋」と言ったんですね。

許されない恋愛関係で、堂々と会うことはできない──でも、心は通い合っている──その証として、自分と相手だけが知っている、秘密の紋を入れるという、切ない大人の事情があったようです。

相談した紋屋さんも、「今でも粋な人がいてはるんやなぁ~」と驚かれていました。

今から20年ほど前の話ですが、「抱き紋」の注文は、この一度きり。
それ以降、相談も注文も、受けたことがありません。

後になってから、ずいぶん珍しい事例だったのだと知りました。

抱き紋を知ったのは、地域性にも関連があると思います。

昔の京都では、実店舗を所有せず、得意客を訪問して販売する呉服店が多かったんです。

キセちゃんの父親は、御茶屋さん(祇園や先斗町などの、いわゆる花街)に、お得意様を多く抱えていました。舞妓さん、芸妓さんの活動拠点となる地域で、時には特殊な注文もあったのだと思います。