生徒の窓…4/3

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…長襦袢(大人のステキ) …伊勢型紙小紋(幅広39㎝) …アップ

 

絹の値上がり」

絹の値段がどんどん右肩上がりに上がっています。

ネットなどで保管品の反物の購買をよく見かけますが、いくら反物の状態でも時はたっています。絹は生きているのでよく見定めて購入する様にしましょう。

在庫であったものは、それなりに幅が狭かったり、絵羽物は丈が足りなかったりと、今の高身長の方には難しいことが多いのです。見る目を育て、安いものに飛びつかず購入の前にはお声掛けをお願いします。

**朝の一言**(平成30年1月~12月)

参考になればご覧ください

授業カリキュラムに沿って、聞いて得した・そうなんだ~・ふ~ん  などの一言をお話ししています。
一年分の話を、年末にまとめてみました。月曜クラスや夜間クラスの方は読んでみてください。


お知らせ

「鏝釜セット」在庫3個がみな売り切れました。もうなかなか手に入りそうもありません。皆さんお持ちのコテは大事に丁寧に扱って長持ちさせましょう。

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 **凛通信**


●地色にスジが入る
●17年モノの、美品でした
●テストの結果
●色落ちと、最終対処

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●地色にスジが入る

お客様は、まず難の画像と説明を、メールでお知らせくださいました。
真紅のきものですが、胴の中央部に、シュッと一筋、白い線が入ったようになっています。

また、地色の赤色が、うっすらと胴裏に移っているとのこと。
業界で言う「泣く」と呼ばれる症状ですね。

白い線は、汚れがついたようにも見えますが、おそらく「スレ(繊維が摩擦で毛羽立ち、白っぽく見える症状)」ではないかと推測し、現物を送っていただきました。

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●17年モノの、美品でした

この品物、難こそ出ているものの、なんと購入から17年経過しているとのこと。にもかかわらず、とても状態が良いので驚きました。

それも、タンスの肥やしで美品なのではありません。
頻繁にお召しになっている証拠に、八掛の裾の部分は、擦り切れが出ています。

Aさまは、ご要望をまとめたメモを同封してくださっていました。

1.白い線を消したい。
2.胴裏に色移りした地色を、色落ちしないようにしてほしい。
3.八掛がスレているので、取り合いを変えて、スレた部分を見えないところに入れ替えたい。
4.購入してから一度も洗ったことがないので、これを機に洗い張りをしたい。
5 仕立ては、和裁のできる友人が居るので、その人に頼みたい。

とのことでした。

検品の結果、白い線は、予想通り「スレ」でした。
ちょうど帯の上端に当たる部分です。
着用中に帯と擦れて、毛羽立ったのではないかと思われます。

帯の当たる位置は、何度着用してもほぼ決まってくるでしょう。一度の着用でスレたのではなく、何度も着ていて、同じ部分が繰り返しスレてきた、と考えるのが自然だと思いました。

胴裏への色移りは、着用中に汗をかかれたのであれば、高温多湿になったことも影響するか?と考えました。
いずれにせよ、同じ症状が再発するのは困ります。

テストも含め、詳しく調べて、最適な対応を考えることにしました。

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●テストの結果

Aさまは、品物のハギレも同封してくださっていました。大小合わせて、9枚のハギレ。
まずこのハギレで、色落ちの程度を調べましょう。

最初に1枚、水で湿らせて、白布にトントンしてみると‥‥はい、うすーくピンク色が付着しました。
落ちてますねぇー‥‥。

通常、このような色落ちは、引染めの染料の残留(染色工程の後の蒸し・水元で、余分な染料が十分に落ちていない)に原因があると考えられます。

ところが調べてみると、この品物、引染めではなく「焚き染め」だったのです!
‥‥となると、このような色落ちは考えにくいのです。

さらに、2回目のテストで、新たな謎が出てきました。
1回目とは別のハギレを使って同じテストをしたところ‥‥なんと!色落ちが見られなかったのです。

たまたま最初にテストをしたハギレが泣いたので、色落ちアリの判定を下しましたが‥‥

もし、最初にテストするハギレが別のものだったら、違った結果になっていたかもしれません。

いずれにせよ、ひとつの品物の中で、部分によって泣いたり泣かなかったり‥‥これはあり得ない話です。

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●色落ちと、最終対処

色落ち(=泣き)の症状は、難としては珍しくありません。
ほとんどの場合、引染めなら蒸し・水元工程での残留染料に問題があります。

焚き染めで色落ちが起きたとすれば‥‥
釜の温度が低かったか、染めた後の水洗いが不十分だったのか、水洗いの際、品物が均一に広がっておらず、部分的に洗いが弱いところができてしまったか‥‥といったところでしょうか。

僕らとしてはまず、これ以上染料が落ちないように、トコトン水洗いして残留染料をなくす‥‥という手法をご提案するのが一般的です。

この方法は「泣かなく」するための決定打ですが、残留染料が流出した分、どうしても地色が薄くなる傾向があります。

A様に確認すると、今のお色がお気に入りのこと。となれば、他の方法を選択したほうが賢明です。

水洗いをすると、染料が泣いてしまいます。
そこで、ドライクリーニングの要領で「揮発洗浄」を行うことにしました。

油性の成分なので、染料は反応せず、地色を変えずに汚れ落としをすることができます。

ちなみにですが、揮発洗浄でも大丈夫だったのは、やはりこの品物の状態が良かったからです。水洗いしないと落ちない汚れなどがあれば、無理だったでしょう‥‥。

最終的に、

1.スレを取る。
2.洗い張りはやめて、揮発洗浄で汚れを落とす。
3.八掛は、部分的に仕立てをほどき、裾を少し内側に折り込んで、擦り切れた部分が見えないようにする。
4.水との反応を最小限にするため、ガード加工をする。

となりました。
八掛は、原寸より1.5センチぐらい短くなりますが、もともと身丈が長めだったので、支障ないとのこと。

余談ですが、この品物、以前にもガード加工をされたとのことでした。
それでも色落ちしたということは、経年で効果が弱まっていたのかもしれません(17年選手ですから!)

改めて、ガードをかけ直し、色落ちや他への色移りを防ぐことになりました。

 

 


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