生徒の窓 7/1

*お知らせ*

***授業状況***

✿✿ 教材 ……●小紋・帯

●小紋…①涼やかな上品柄です。ライトブルー空色 単衣でも

●帯地…①切ばめの太鼓柄、織。②染帯ろうけち染。③まだ「絵手ぬぐい」で帯を作ったことがない方にお勧めします

✿✿教室の手持ち反物……教材用の反物を一覧にしました。こちらからご覧になって予定を立ててください。価格は教室の一覧にて

✿✿月謝について……月謝は前納制です。月二回の生徒さんは一回おきに収める状態になりますがお願いいたします。又、授業の始まる前に収めてください。頻繁に遅れが目立ちます。事務の予定が立ちませんのでそこのところよろしくご理解ください。

✿✿出席届……出席届の枠が増えました。キャンセル待ちの記入欄は作ってないので、電話もしくはメールでお問い合わせください。

✿✿ 出席やキャンセルの連絡は下記針山アイコンよりお願いします。(教室の留守電可)

✿✿マスクについてお願い……コロナウィルスによる感染防御のマスク使用については、個人の自由に任せることになっています。当教室では顔を近づけての会話が多い為、いましばらくの間マスクの着用をお願いします。(授業中会話をしない状態ではマスクを外していただいてもよいです)講師は常時着用

✿✿ 窓開換気の為、気候に合わせて着るものの調節をお願いいたします。

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 凛通信


●湯のし
●品物になる前の生地
●繊維を整える
●手作業しか無理な品物

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●湯のし

「湯のし(ゆのし)」は、正絹で織られた反物にとって、大変重要な工程です。

しかし、目に見えない調整の作業であるため、何のためにやるのか、どんな効果があるのかは、意外と知られていません。

前回で、きものづくりの第1工程、「企画・考案」を解説しました。
どんな品物を作るか決まったら、品物にあった白生地を選定し、実際の作業工程に入っていきます。

「これから品物を作ります!」となって、一反の白生地がやってきます。

この生地できものを作っていくわけですが、図案の寸法取りや下絵より前に、まず行われるのが「下のし」と呼ばれる工程です。

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●品物になる前の生地

下のしは、湯のしの一種です。新しい品物を作る白生地に行う湯のしを、「下のし」と呼んでいます。

これからきものになる、一反の白生地。
糸の種類や織り方など、グレードに差があります。ですが、それ以外にも、生産後の白生地には「個体差」が出ているんです。

この白生地、どのぐらい倉庫に眠っていたのか?どんな人が検品し、どんな巻き方をされたのか?

白生地は、どこかの製糸工場で作られた生糸を使って、どこかの機場(はたば)で織られたものが、メーカーさんに納品されています。

完成した白生地(反物)は、出荷前や納品時のたびに検品されているので、巻かれた反物が広げられ、再び巻かれる‥‥という動作が繰り返されています。

この、反物を広げたり、巻き直したりするたびに、湯のしが必然となる「クセ」が生まれています。

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●繊維を整える

品物になる前の反物は、それまでの扱われ方によって、繊維の状態が大きく変わります。

特に、反物を広げて、巻き直す作業。あれ、誰がやっても同じようにはならないんですよ。

上手な人が巻いたら、ミミも生地の本体も同じ調子で、ピタッと巾が揃います。

でも、経験の浅い人が巻くと、中央はピシッと締まってるけど、ミミはユルユル。
見た目もグダっとした感じで、両端の位置が揃ってない‥‥みたいなことが、よくあります。

以前、メーカーさんの新入社員は、最初に検品をさせられることが多い、と書きました。

経験のない新人さんたちが、広げて・巻いた反物は、テンションのかかり方が不均一で、ヨレや歪みを起こしやすい状態になっています。

繊維組織が不揃いなまま保管されていると、不揃いな状態が定着してしまいます。
このまま絵柄を入れたり裁断したりするのは、シワシワの紙に絵を描いているのと同じです。

そんな生地の状態を一掃するのが、下のしです。

下のしでは、生地に高温の蒸気を当てて、本来の繊維の状態を復活させ、生地巾や織り目を整える効果があります。

きちんと下地を整えてから寸法取りや柄入れを行えば、安心です。

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●手作業しか無理な品物

湯のしは、柄や細工を施す工程ではありませんが、湯のし屋さんや職人さんの技量によって、仕上がりが大きく変化する工程です。

湯のし屋さんによって風合いや仕上がりに特徴があるので、凛では、頻繁にお願いしているところが3軒、特殊な品物など、イレギュラーにお願いするところが2軒、それ以外にも、スポットでお願いする湯のし屋さんが数軒あります。

湯のしは、まず高温の蒸気を当てて、繊維の癖を取ります。
そして、目の揃った状態を記憶させるために、ローラーに挟むなど、圧を掛けて繊維をピシッと整えます。

特殊な例で、「手のし」という技術があります。

通常は機械で整えるところを、文字通り、職人さんの手で、生地の調子を見ながら調整する方法です。

ちりめんや絞りなど、機械でプレスすると風合いが損なわれる品物に用いられます。

たくさんの小さな穴が開いた銅板の下から、蒸気が出ます。
その上に品物を置いて、あとの加減は職人さんの勘で、手作業で押さえたり引っ張ったりして仕上げていきます。

凹凸のある風合いを活かしながら、生地巾は一定に揃えていかなければなりません。

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次回は、湯のしにまつわる実体験。
湯のしを侮るとどうなるか?‥‥湯のしを軽視したために、品物の価値が下がった実例などをご紹介します。

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