生徒の窓 12/1

*お知らせ*

交通状況や気象状態等で、教室がお休みになる場合が出てくることがあります。その際は当ホームページにてお知らせをいたします。不安の場合には当ページにて確認をお願いいたします。

***授業状況***

✿✿ 教材 ……●紬・小紋など4点

色目は本物の方が数段きれいで美しいです。是非教室にてご確認ください

●紬地(柿渋染)…縦絞り文様、生成り色に濃いブラウンの絞り

●紬地(結城紬)…草木結城、ブルーとオレンジ、ブラウン

●紬地(絣紬)…ミンサー柄の織、ベージュ地に濃淡ブラウンとオレンジのミンサー

●小紋…淡いミント色、ツタ柄鹿の子

✿✿教室の手持ち反物……教材用の反物を一覧にしました。こちらからご覧になって予定を立ててください。価格は教室の一覧にて

✿✿変更出席・月謝・休学……改めてお知らせです。①休学費は昼間部二千円。夜間部千円です ②休学の連絡は前月末までに。クラスの変更も前月末までに ③連絡無くお休みの場合は出席扱いとなります ④お休みされた場合での月謝の返金はできません 翌月への融通もできません ⑤お休みされた場合の前後3ヶ月の変更出席をご利用ください ⑥これらのことは入学時にお互い確認済みですのでよろしくお願いします。

✿✿ 出席やキャンセルの連絡は下記針山アイコンよりお願いします。(教室の留守電可)

 

✿✿マスクについてお願い……コロナウィルスによる感染防御のマスク使用については、個人の自由に任せることになっています。当教室では顔を近づけての会話が多い為、いましばらくの間マスクの着用をお願いします。(授業中会話をしない状態ではマスクを外していただいてもよいです)講師は常時着用

✿✿ 窓開換気の為、気候に合わせて着るものの調節をお願いいたします。

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 凛通信


●柄足しとは?
●柄足しに向く品物、向かない品物
●ご依頼の内訳
●生まれ変わった黒留
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●柄足しとは?

柄足しとは文字通り、品物の雰囲気を損なわないように配慮しながら、あとから絵柄を描き足す手法です。

本来、生産工程が問題なく進めば、柄足しの必要はありません。
柄足しが重宝されるのは、工程中に出た小さな難(染料飛びなどで、そのままでは着用できないが、目立たなくなれば全く問題がない)を隠す仕事です。

また消費者さまからは、着用中に付いた汚れや、カビを隠すためにご依頼をいただくこともあります。

カビも汚れも、まず落とせるところまでキレイにし、重症化しないような処置をしてから柄を足します。
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●柄足しに向く品物、向かない品物

すべての加工に言えることですが、どんな便利な技法も、あらゆる品物に使えるわけではありません。

柄足しの場合、絵柄が多く入っている品物ほど、効果的に使うことができます。

絵柄が多いと、モチーフの種類や数も多くなります。
なので、描き足した絵柄が変に浮くことなく、自然に仕上がります。

逆に、色無地や紬、留袖や色留袖など、もともと絵柄がなかったり、絵柄の入る位置が限定された品物には、柄足しが使えなかったり、絵柄を足すことで別の品物に変わることがあります。

たとえば訪問着の場合、絵柄は、衿元・肩・袖・上半身に入るものと決まっています。
絵柄の近くに難が出た場合は、柄足しで目立たなくなるかもしれません。
が、留袖や色留袖の無地部分に出た難を隠すために柄足しを行うと、決められた絵柄の範囲を超えてしまいます。
付け下げなど、他の種類に変わってしまうことになります。

さらに、色無地と付下げ、訪問着と色留袖では格が違うため、着用できる場面が変わってきます。

品物の格や着用シーンについては、業界関係者でもご存じない方が増えています。

お客さまから相談を受けた小売店さんが、絵柄の範囲についてご存じなく、「柄足しで直りますよ~」と対応されていたこともありました。
そういう場合は、フォローも含めて説明します。

補正を任される地直し屋としては、単純に難を隠すだけでなく、補正した品物の運命(と言うと大げさかもしれませんが‥‥)も含めて、いちばんお客さまのニーズにあった方法をご提案する必要があります。
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●ご依頼の内訳

柄足しのご依頼は、大きく分けて以下のようになります。

業界内では、
1.生産工程中の難:染料飛び、生地難などを隠す
2.完成後、保管中の品物に出たカビ・焼けなどを隠す

1.の「生地難」は、レアなケースですが‥‥

生地の完成時にはわからなかった繊維のキズが、地染めが終わってから見つかることがあるんです。

生地を染めることで、繊維キズの凹凸部分に染料が入り込み、染め上がってから難と判明する‥‥などです。

染めてから生地難が判明した場合、その反物でどんな品物を作るのか、断ち合わせの位置はどこに来るか、などをヒアリングします。

表に出てしまう場所に生地難があれば、柄足し補正を使うことがあります。

一般消費者さまからのご依頼で多いのは、
3.着用中に出た難を隠す(飲食物の汚れなど)
4.保管中に出た難を隠す(カビ、虫食いなど)
5.寸法直しをしたら、縫い代の内側にあった難が出てきた!
などが多いです。

上記すべてが柄足しで解決できるわけではありませんが、繊維のダメージや、コスト(いったんほどいて、仕立て直す必要がない)などを考慮して、加工方法を決定します。

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●生まれ変わった黒留

「柄足しによって、品物の種類や格が変わることがある」と書きましたが、種類が変わってうまくいった事例もあります。

あるメーカーさんからのご依頼でした。
黒留袖でしたが、絵柄が入るべき範囲を超えて、上半身の無地部分に難が出てしまいました。

小さな難でしたが、そのままでは目立ってしまいます。
しかし、上半身に柄足しを使うと、黒留袖ではなくなってしまいます。

メーカーさんの話によると‥‥

品物は非常に高級で、生産コストもかかっている‥‥
小さな難のために、商品をボツにするには忍びない。黒留は諦めて、訪問着として販売したい‥‥

ということで、何度も打合せをし、柄足しで訪問着として販売することになりました。

元の品物が持つ、重厚な雰囲気‥‥どんな絵柄にするか悩みました。
が、なんとか納得していただける仕上がりになりました。

後日、メーカーさんから連絡がありました。
訪問着として販売したら、なんとスグに売れたそうです(!)

品物の種類は変わってしまったけど、諦めなくてよかったなぁ~♪とほっこり嬉しかったのを覚えています。

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きちんと保管しているつもりでも、タンスの中でカビや変色など、思いもしない変化が起きていることがあります。
大切な品物のためにも、ときどきタンスを開けて、お顔を見てあげましょう。