凛マガジン(藍染)

●藍染め

●上位ランキング

●神秘の色落ち

●藍止め

●色落ち、色移り

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●藍染め

1ヶ月前のメルマガで、久留米絣という藍染について取り上げましたが、そこからヒントをもらい、今回から天然染料のことを書いてみたいと思います。 やはり藍染でしょう。 「タデ藍」という植物が原料で、乾燥させた葉を発酵させて染料にします。微生物が、藍染の色づくりに貢献しているんですね!! 藍染職人さんの手は、爪が青く染まっています。洗っても落ちないんですね‥‥ということは、藍の色素にはすごく定着力がありそうですが‥‥ ご依頼でいちばん多いのは、「色落ち」なんです‥‥。

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●上位ランキング

藍染の製品で多いご依頼は、 第1位:日光や照明器具で焼けて、色が変わった第2位:藍染の品物の色が、帯や胴裏に移ったです(普通は3位まで発表しますが、3位以下がすぐに出てこないほど、この2つが多いです)。 メーカーさんや問屋さんは、在庫を多く持っておられます。反物の色焼けなどは、まとめて100反以上(!)送られてくることもあります。平均すると、ひと月に数十点はお預かりしているのではないかと思います。

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●神秘の色落ち

長年地直しをやっていますが、藍染は神秘的というか、謎が多いです。 藍は、水で洗えばもちろんですが、揮発でも落ちることがあります。なので、和装クリーニングであっても、安易に出さない方が安全です。 ところが、中には色が落ちない藍染もあります。コレがまたややこしくて「落ちないのは、本物の藍じゃないかも?!」ということもあるのです。あくまでも「かも?!」ですが。 現在流通している製品には、伝統技法の藍染のほか、「人造藍」と呼ばれる技法が使われたものがあります。 タデ藍は使うけれども、発酵工程を化学的に処理する方法、鉱物から化学的に藍色を抽出する「合成藍」など、いろいろあるようです(あまり詳しく知りません)。 伝統的な藍染と人造藍は、手間や工程はまったく違うものです。ところが、どちらも「化学式で表すと」同じになるそうです。 それゆえ、「偽物は、“化学的には”存在しない」「人造藍は、藍とは言えない」など、業界内でも賛否両論です。 さらに、本藍でも人造藍でもない「藍染“風”」もあります。(藍の色に限りなく近づけた化学染料で染めたもの、など)手間とコストがかからないこともあり、最近は「藍染風」が増えているかもしれません。 さらには、「藍染です」と言って販売されたであろう「藍染風」を補正したこともあるので、本当にややこしいです。←販売員さんが知らなかった可能性もありますが、厳密には偽証ですよね ↑ 本藍だと聞いたので、慎重にテストをしたところ、「アレ?!全然落ちひんやん?!」となったのです。 見た目ではわかりませんが、調べれば本物かどうかはわかります。 もちろん、きっちり伝統を守っているメーカーさんもあります。僕らがお付き合いさせていただいているだけでも、2社知っています。

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●藍止め

藍染の製品が売れると、「藍止め」という処理を行います。 藍染の色落ちを防ぐ処理なのですが、前のメルマガでも取り上げたように、反物の完成時には行いません。売れてから、です。 つまり、反物には色落ちの性質が残っているということです。反物を巻いているだけでも、手が青くなることがよくあります。 藍染同様、藍止めも謎が多いです。どのメーカーさんも、藍止めに関しては企業秘密なので、成分や方法がわかりません。 またまたややこしいことに、藍の性質上、藍止めは、藍が色落ちしないことを保証するものではありません。 なので、「藍止めしたのに、色が落ちた!」ということもあります。 一方で、「この藍染は、完全に(色落ちが)止まってる!」という製品もあります。 藍染と藍止めは、両方の技法がセットになって成立するケースがあります。つまり、あるメーカーで染めた藍を、違うメーカーで藍止めしても、うまくいかないかも?!ということです。 染めと藍止めの技法、両方が企業秘密なので、理由がわかりません。

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●色落ち、色移り

着用後のご依頼でいちばん多いのは、藍染のきものに白い帯をしてたら、帯に青が移った!とか、汗をかいて、胴裏が青く染まった! などです。 胴裏の場合、対応で迷うことがあります。 持ち主さま直接のご依頼なら、胴裏は新品に交換することをお勧めするかもしれません。新品の方がコストも抑えられるなら、交換をお勧めするでしょう。 しかし、お客さまが購入されたお店に相談され、小売店さん→問屋さん→メーカーさん と流通ルートを遡ってお受けした場合は、直接持ち主さまのご意向を聞けないので、これができません。 余裕があれば補正の事例を入れようかと思いましたが、今回は藍染の説明だけで終わってしまいました

2020年07月23日