凛マガジン(整理屋さん)

●「整理屋さん」のお仕事

●5軒の整理屋さん

●「整理」のいろいろ

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●「整理屋さん」のお仕事

職人さん(お店、会社)によって、やっている業務は少しずつ異なりますが、「湯のし」がいちばん代表的ではないでしょうか。僕らは「整理屋さん」と呼んでいますが、「湯のし屋さん」と言う人もいますし。 湯のしの他に、柔軟加工や防縮加工をやっている所もあります。

湯のしは、生地の風合いを本来の状態に戻し、生地巾や織目を均一に整える効果があります。湯のしの後、絶対に必要とうわけではないのですが、セットで柔軟加工される品物が多いです(品物の種類によっては、湯のしだけの方が適していることもあります)。

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●5軒の整理屋さん

さて、ここから少々、マニアックな話になっていきます‥‥。 凛とお取引のある整理屋さん、現在5軒あります。同じような仕事なのに、なぜ5軒も必要なの?と思われるかもしれません(ちなみに、依頼する品物が多すぎて振り分けているわけではありません)。

2つ理由がありまして‥‥1つは、依頼者さまのご要望に合う加工ができる整理屋さんを選んでいる、もう1つは、整理屋さんの設備や技術に合った品物を依頼している、です。 ただ、ここまで細かいところを気にしている地直し屋は、ほとんどないと思います。湯のしを中心とした「整理」をお願いできる業者さんは、複数あります。もしかしたら、1・2軒の外注先でも事足りるかもしれません。 ですが、それぞれの特徴や良さがわかると、その良さを活かし、品物の仕上がりも、お客さまの満足度も上がるようなお取引ができれば‥‥と考えています。

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●「整理」のいろいろ

さて、「湯のし」と書きましたが、具体的にはどんなことをするのでしょうか。 基本的には、蒸気(高温多湿)を使って、生地巾や織目、風合いを整えることだと理解してください。 機械設備を使うのが主流で、生地の両端を針で留めて一定の巾にし、蒸気の出る装置の上を、コンベアのように流れていきます。 また、柔軟加工ですが、大きく分けて2つの手法があります。 こちらも、一般的なのは「機械柔軟」です。上下に付いた2つのローラーの間に、生地を挟み、圧力をかけます。均一に圧力が加わることで、生地が伸び、シワも取れます。 ところが、機械柔軟が使えない品物があります。

絞りなどが、その代表です。せっかくの「しぼ」をローラーで挟んでしまうと、ペランペランになってしまいます。 また、通常の金加工は、機械柔軟でも大丈夫ですが、「盛り金」と呼ばれる厚みのある金彩には、バインダー(接着剤の役割をする樹脂)が使われています。 バインダーには少し粘性があるため、ローラーの圧力で剥がれたり、他の部分に引っ付いてしまうリスクが出てきます。なので、機械は使えません。

品物の種類や状態にもよりますが、湯のしだけで済ませるか、液体に浸す方法を使ったりします。

2019年08月01日