凛マガジン(最近気になるなるあのCM)

●最近気になるあのCМ

●高値で買取、は本当?

●高値がつく品物は‥‥

●今は作れない


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古着の舞台裏について解説してみます。

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●最近気になるあのCM

読者の皆さまにも、気になっている方が多いと思うのですが‥‥ 「

古いきものや帯を、出張で買い取りします!」というテレビコマーシャルを見たことはありませんか?

中古呉服の買取業者さんは、この10年ほどで激増しています。

ここで、単純な疑問がわいてきませんか? 着なくなった古いきものがタンスに眠っている人は、そこそこいらっしゃると思います。しかし、それにも限界があります。

いずれ、買い取る品物は枯渇し、市場は飽和するはずです。それに、派手な広告宣伝をして、高価で買い取ってくれるなんて‥‥それで本当に利益が出ているのでしょうか?

コマーシャルを流している業者さんのサイトを見てみました。

テレビでは「きもの買取」と宣伝していますが、実際は、バッグや時計などの高級ブランド品、切手、毛皮などを幅広く扱っている、いわゆる「古物商」でした。

高級なきものを持っていて、売ってもいいかなぁーと思ってくれる主婦層が多くテレビを見る時間帯に、「きものの買取」とCMを流しているんでしょうね。

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●高値で買取、は本当?

業者さんのサイトに、買取実績のページがありました。(高値が付いたものを優先して掲載しているとは思いますが)、100万円を超える価格で買い取られている品物もありました。

では、少しプロの目線で解説をしてみましょう。 汚れやカビがなく、状態の良い美品なら、高く買い取ってもらえる、と思われがちですが‥‥結果から言うと、美品でも、買取価値がゼロに近くなってしまう場合もあります。

どんな品物が高い評価を受けるの? 美品でも売れにくい品物ってどんなもの?

買取業者を利用してみようかな‥‥と考えておられる方の、参考になればと思います。

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●高値がつく品物は‥‥ 「

買取実績」のページを見た瞬間、「あ!」と思った写真がありました。

100万円以上で買い取られたと書いてありましたが、これには納得できました。

有名な作家さんの作品だったからです。重要無形文化財の友禅の作家さんで、数々の賞や叙勲も受けておられる、輝かしい経歴の持ち主です。 他界された後は、技術を継承したご子孫方で作品づくりを続けておられます。

特徴のあるデザインで人気があり、先代が存命中に手がけた作品には、プレミア価格が付いています。

ブランド力のある作家さん、入手不可能な遺作などは、一般的に評価が高いです。

他に、有名な産地で作られたもの、特定の時代に作られ、作風に特徴があるもの、証紙など品質を保証するものが揃っていると、評価は高くなります。

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●今は作れない

希少価値と言えば、生産されなくなったり、作り手が激減して価値が上がる品物もあります。

一例として、「村山紬(むらやまつむぎ)」を説明しましょう‥‥。

村山紬は、東京都・武蔵村山市近辺で作られる紬です。 奄美大島の特産品、「大島紬」は非常に有名ですね。高級品として知られ、高いものだと一反数百万するものもあります。

村山紬はもともと、大島紬を真似て作られ、戦後、普及品として広まりました。当時は、「模倣品」という扱いで、高価ではなかったはずです。 ところがその後、作れる職人さん・工房が激減し、現在ではほとんど作られていません。

そのため希少価値が高まり、価格も上がっています。 このように、品物の価値や評価は、どれだけ流通しているか?によって、ガラリと変わります。 何十年という長期単位で見ると、デザインの特徴や流行も関わってくるでしょう。

古着市場の話題、残りは、次回に引き継がせてもらいます! 今日取り上げたのとは逆の例──品質はいいのに高い値段がつかないものについての解説、また、古着屋さんの舞台裏や儲かるしくみについてお話ししたいと思います。

2018年12月04日